02 焼き菓子 粉糖
〈焼き菓子 粉糖〉の思い出に寄り添う焼菓子たち
道に流れる甘い香りの正体はこれ。選びきれなくてオトナ買いしたい!
白くて小さなお菓子の店で記憶に残るおいしさと再会。
「この道を通ると、ふんわり甘い香りがする」。その源は住宅街の中にある小さなお菓子屋さんの換気扇。香りに誘われて店内に入ると、オートミールのクッキーやクルミのガレット、和三盆のリュス、レモンタルト、チーズケーキ、フィナンシェ、プリンとさまざまな焼菓子がショーケースに並んでいて、何を買おうか迷うほど。そういえばこのお菓子、どこかで見たことがあるような…?「このお店を始めるより前に、いろんなイベントに出店していたんですよ。初めはクラフトフェアまつもと。うみのアパルトマルシェ、富山のみの市、オカノウエノまーけっと、しんたてコーヒー大作戦といろいろ。今はちょっとイベント出店をお休みしていますけど」とのこと。もう一度食べたいと思っていたお菓子と、またあえるなんて!

やさしい酸味のアイシングがかかったレモンケーキ。コーヒーを合わせたくなる味
ずっとずっと思い続けた「お菓子だけ」のお店を実現。
母の琴子(ぎんこ)さんと娘のゆみさんが仲良く営む『粉糖』は、実家の一角をリノベしたもの。現在、入場制限も取りつつテイクアウトのみで営業しています。「以前、母と父は雨晴海岸で『カフェレストランkoto』をしていたんですよ。道路拡張や家の事情などで40年近く続けてきたカフェレストランをやむなく閉店しましたが、今の『粉糖』ではその時の器や机を一部使っています。これもそう。だけど、2客しか残ってなくて」と、ゆみさんが特別にコーヒーカップに注いでくれました。調理場にこもって琴子さんが作るお菓子は、繊細でやさしい味が多く飽きが来ません。聞けば琴子さんは元々お菓子が好きで、「お菓子だけのお店をやりたい!」とカフェ時代からずっと思い続けていたそう。道路拡張に伴いカフェを休業したタイミングで、代官山のLe Cordon Bleu東京校に通学。それほどの熱意と紆余曲折を経て琴子さんの長年の夢が実現したのが、この『粉糖』なのです。

ゆみさんがハンドドリップで淹れるコーヒーは『koto』の味のまま
できることを重ねて無理せず守り続けること。
琴子さんがお菓子作りに本気になったきっかけは、一冊の本の中のシフォンケーキ。1991年当時、シフォンケーキはまだ珍しくて、近くで食べられるところは無く、本にレシピが載っていても自分自身が味わったことのないケーキともあって手探り状態。「シフォンケーキを作る前からお菓子作りはしていたけれど、なかなか満足できる仕上がりにはならなくて……意地になって、1日に何度も焼いたわ」と琴子さんが言うと、「挑戦したのがプレーンでなく、バナナ入りだったから難しかったのかも」とゆみさん。現在、シフォンケーキは店頭に並ばないけれど、この時の体験がずっとずっと琴子さんの心に熱を灯し続けています。「新作のお菓子が上手に作れたのもあるけど、それを試食してくれた家族が笑顔になったのを見た瞬間は、本当にうれしい」。そんな彼女が作るお菓子は、北海道の小麦粉、きび糖、徳島の和三盆糖、セイアグリー卵などを用いた心にも体にもやさしいお菓子。甘い香りいっぱいのお菓子をゆみさんが詰めて、レジを打つ。たまに季節のドリンクも二人で作りながら、母娘仲良く、日々を誠実に。そんなお店のお菓子だから、道行く人さえも惹きつけるのかもしれません。

網の上に並ぶ焼き立てのクッキーたち。焼き立てならではの甘い香りにうっとり
焼き菓子 粉糖

店舗情報
- 店名
- 焼き菓子 粉糖
- 住所
- 氷見市諏訪野4-21
- 電話番号
- 0766-72-0134
- 営業時間
- 11:00~17:00頃
- 定休日
- 月曜、火曜(ほか不定休有)
- @yakigashikoto