22 おこめぢゃや 富山マルート店
思い返すたびに愛しくなる味と時間〈おこめぢゃや〉のだんごを今も未来も

作り手の想いはブレず、心に留めておく。おいしいものを作るために大切なこと。
郷愁と新鮮をあわせもつモチモチホカホカなおやつ。
2022年3月18日、富山駅前にオープンした『MAROOT』。多くのお店が入る中、おもちが焼けるような香りが……
甘く香ばしい匂いに誘われるように1階を進むと、「お待たせしました、みたらしだんご2本です」と手渡しするスタッフの姿。奥にはもう一人のスタッフがだんごを丁寧に焼き、オーダーに応じてそれぞれのタレ壺に漬けています。1本から買えるとあって、学生たちはもちろん、小腹満たしにサッと立ち寄るスーツ姿の人も!
お米のおやつ専門店として誕生した
『おこめぢゃや』のラインナップは、だんごとおこわの2種類という潔さ。ショーケースにはあえて少なめに並べ、希望と数に応じて焼きたてだんごをいただけるのだとか。
(おこわは蒸して粗熱を取ったものなので、ほどよくほかほか&もちもち!)
「だんごは焼くのに約5分かかりますから、お待たせしてしまいますが」
と、スタッフさんが申し訳なさそうに話すものの、だんごが焼ける様子を見て、香りを楽しめるのは、店頭ならではのお楽しみ。

1本ずつ丁寧に香ばしく焼き上げ、濃厚なタレ壺の中へダイブ! そうっとゆっくり引き上げた時のテリツヤ感に、うっとり目を細めてしまいます。

おこわはおやつにぴったりの一口サイズで、大粒黒豆おこわ、立山ポークのごろっと肉おこわの2種。袋入りだから気軽にテイクアウトOK

富山らしさをたっぷりこめた老若男女みんながよろこぶ味。
だんごはみたらし、焦がし醤油、黒糖あやめ、富山のブラックだんごの4種類。どれもコクが際立ち、お米の風味と甘さのバランスが最高だけど、富山のブラックだんごだけは、濃厚醤油味に粗挽きの黒胡椒がかかって甘さゼロ。大人の味だから酒のおともにイイかもなんて、こっそり考えてみたり。
そして、だんごの生地は驚くほどのモチモチ感で、お米の甘みと旨みがギュッ!
「だんごの主となる原料米は富山県産の〈てんたかく〉で、おこわは富山県産の〈新大正もち米〉を使って作っています。富山の素材のおいしさを伝えることの大切さはもちろんですが、誰もが身近に感じられ、ほっと一息できるそんなおやつの時間をご提供していきたくて」
そう話すのは、『おこめぢゃや』の商品開発に携わった佐伯さん。商品企画の長田さんも、
「富山のおやつになりたいという想いからMAROOTへの出店を決めました。富山米をより身近に手軽に食べられて、お米本来のおいしさが楽しめるおやつがだんごとおこわであるならば、それはどんなサイズ、味わいがいいだろうかと、米菓づくりのノウハウをいかして追求しました」
とショーケースを大切に見つめます。長田さんが言うノウハウとは、大正13年創業のあられ・おせんべい製造メーカー『日の出屋製菓産業・ささら屋』でのこと。『おこめぢゃや』は同社の新ブランド展開なのです。

お店のロゴはだんごとおこわの「自然体の丸」からデザイン。店頭にはほかにもだんごモチーフがたくさんディスプレイされていて、親しみが深まるかわいらしさ
たかがだんご、されどだんご。こめられた地元愛は深くて。
「だんごもおこわも、『ささら屋』立山本店と福光本店で春・秋に開催するイベント『工場祭』で作ってはいたのですが、それをそのまま並べるのではなく、新たにみんなで考えました。『富山のおやつはおこめぢゃやのだんごだ、おこわだと言われるような、そんな代表的なおやつになりたいね』って。
今の時代を生きる子供たちに、このだんごやおこわで寄り添いたい。彼らが大人になって食べた時、懐かしくて、いつまでも記憶に残るそうなるよう追求して作ろう、と」
開発時を思い返しつつ、自然と笑顔がこぼれる佐伯さん。聞けば、以前は飲食店に勤めていたのだそう。
「その時は、富山の食材のおいしさや、富山米の特徴を具体的に考えていなかったんです。でも、工場祭で食べただんごがあまりにもおいしく、『富山米はうまい!』と衝撃を受けました。地元食材の良さをもっとたくさんの方に広めたいと考えるようになったきっかけです」
富山の米文化を守り、子供たちや若い世代へ、この味を伝えて、受け継いでいきたい……そんな佐伯さんの湧き出た思いがこめられ、みんなの力でカタチになったあたたかいおやつたち。
どこかほっとするこの味を噛みしめるたび、疲れた体に染みるのを感じられます。
おこめぢゃや 富山マルート店

店舗情報
- 店名
- おこめぢゃや 富山マルート店
- 住所
- 富山市明輪町1-231 MAROOT1F
- 電話番号
- 076-411-7741
- 営業時間
- 10:00~20:00
- 定休日
- 元日・その他施設に準ずる