薪を使った調理へのこだわりは、新鮮な地場野菜のグリルにも表れている。小川さんは15年以上イタリアンに向き合ってきた。

素材の魅力を引き出す力強い薪火イタリアン

舟橋村の穏やかで自然に囲まれた地に佇むイタリアンレストラン『dadada_』。扉を開けると、紙管を使ったインテリアが目を引く。古書や絵本が並び、自然と手が伸びて本をめくりaくなる。店内はモダンでありながら、どことなく懐かしさも感じられる空間が広がっている。「da（～から）」に込められた、人と人との繋がりが永く続くようにという願いが、店名末尾の「_ 」にそっと息づいている。
キッチンに目を向けると、どんっと胸を張ってゲストを迎える大きなピザ窯とグリル窯。薪を使った原始的な調理法にこだわることで、素材の持ち味を最大限に引き出している。これが『dadada_』らしい、力強いイタリアン料理の秘密。薪の炎が生み出す熱と香りは、五感を優しく刺激し、忘れかけていた感覚を呼び覚ましてくれるだろう。そのピザ窯で味わいたいのは、シェフ小川さんの独創性が光る料理の数々。今回は、富山県産名水ポークのロースハムと、地元で採れた滋味豊かな山菜を使った特別なピッツァをご紹介。
色鮮やかなこごみが主役のこちらのピッツァ。口にした瞬間に春の息吹を感じさせてくれる。ほろ苦いふきみそソースと、シャキッとした山菜の食感が絶妙なハーモニーを生み出す。富山県産名水ポークを活かした自家製ロースハムとフレッシュな地場野菜が、焼き立てのピッツァを彩るように盛り付けられていく。ほのかな苦みと香り、そして彩りが食欲をそそるこのピッツァは、まさにシェフの挑戦。富山といえば海の幸というイメージを覆し、山の幸の魅力を存分に引き出している。大きな窯で焼き上げられたピッツァは、生地の香ばしさと素材本来の旨味が凝縮。一口食べれば、これまで知らなかった食材同士の新たな出会いに心が躍る。
これからの季節は、ハーブが香るテラス席もおすすめ。開放的な空間で、愛犬と一緒にゆったりとした時間を過ごすことも。コーヒーとドルチェだけでも気軽に立ち寄れる『dadada_』は、日常の喧騒から離れ、自然と歴史、そして美味しいピッツァに心癒される、とっておきの場所。新たな発見を求めて、ぜひ一度訪れてみてはいかが。

店長の大崎さんが手がける珠玉のドルチェも人気。