35 cafe&bowl... coconie
おだやかな時間ごと味わう〈ココニ〉のNYチーズケーキとアーモンドシフォン
味、食感、香りがマッチした瞬間その先の誰かの日常に寄り添う景色が見える気がします。
〈日常〉ってなんだろう?そう気づかせてくれる空間。
初めて来たはずなのに、〈日常〉のようなふと、そんな錯覚を覚える空間。うれしいことがあったからとか、落ち込んだからとかだけではなく、なんでもない日に「今日も、ここで」と思えるお店って、自分の中にどれだけあるだろう? 観光とか流行とかはなくて、もう、本当に〈日常〉のような。
「ここに来れば、いつも何かが自分を迎えてくれる空間でありたいんです。誰かの〈日常〉になれるように……なれればいいなって」
と話すのは、店主の廣瀬さん。そう思う背景には、両親との思い出があるそう。
「母が喫茶店で本を読むタイプで。落ち着く空間で、淹れてもらった喫茶店のおいしいコーヒーを飲みながら本を読む楽しみを知りました。父は退職後に毎日同じ喫茶店に通っていました。マスターとかるくあいさつを交わし、週一で変わる雑誌を読むのを楽しみにしていて。私は、そんな両親と喫茶店へ訪れるのが好きでした。おかげで自然に喫茶店が『いつも迎えてくれる場所』だと、魅力を感じるようになっていってそういう場所を私も作りたかったんです」
お客同士の視線がぶつからないように配慮しつつ、さりげなくテーマ性も感じられる各テーブル。どの席を選んでも居心地が良くて、つい長居してしまいそう。

甘さ控えめの「ピスタチオのバスクチーズケーキ」。ベリー系のソースが味のアクセントに。丘の上で緑に囲まれて静かに佇むかわいいお店。青空の日は写真に収めたくなります。どの席を選んでも、ほっと一息つける店内。

ちなみに「coconieオリジナルグリーティングカード」に描かれたイラストは、店内にある小物たちがモチーフなのだそう
自分も訪れる人も心地良く感じられる場所にしたい。
2021年9月末で『書斎カフェcoconie...』をやむなく閉店し、一息つく間もなく不幸にも大怪我を負ってしまい、心身ともに丸一年お休みすることとなってしまった廣瀬さん。
「お休みしている間は、自分と向き合って考える時間にもなりました。この先、私は何がしたいのかを自分自身に問いかけると、答えは『お客様とまた会いたい、お迎えしたい』だったんです。縁あって、現在のこの場所、この建物でお店を再開させていただく運びとなり、ここでなら、もう一度私は誰かのための〈日常〉を作ることができるのかなと思えて」
そうして2022年8月に『cafe&bowl...coconie』をオープン。書斎ではなくカフェとしてごはんメニューを増やすも、特筆すべきはやはりコーヒーとおやつ。休養中に自家焙煎のコーヒーに目覚めたこともあり、焙煎した豆を挽いて、実際にサーブする量で淹れて、味を確かめるのはしばしば。そして、そのコーヒーに合うようにおやつも何回も作って食べてを繰り返し集中し続けるあまり、気づけば朝を迎えていたこともあったほど。

『書斎カフェcoconie...』時の様子。テーマのある9つの机が置かれた「書斎」には約1,500冊もの蔵書があり、ひとりで静かに過ごせると書斎の住人(会員)から親しまれていました。今の店内にも名残や雰囲気がそこかしこに
ささやかな〈日常〉を支えるために味の追求を。
「実験体質っていうのかな。NYチーズケーキは書斎カフェをする前から自分で作っていたお菓子のひとつで、それだけにマイナーチェンジを山ほどしています。同じ材料でも、ちょっとした工程の違いで仕上がりが変わってくるので調整して、狙い通りだと嬉しくて……それからコーヒーとのペアリングを試して。日々のルーティーンをこなしながらなので、本当にゆっくりのペースですが、経験しながら一歩ずつ進んできました。限られた時間の中で大変なことも多いですが、この作業が楽しいんです」
小麦粉、ベーキングパウダー不使用で、アーモンドプードルのみでふんわりと焼成されたアーモンドシフォンは、ものすごくしっとり食感。ローストしたアーモンドをたくさん練り込んでいるため、香ばしさもなかなかのもの。
香り高いコーヒーを飲みながら、どっちのケーキもひとくちずつゆっくりと。口の中に広がる味に、つい笑顔がこぼれます。この穏やかな味と時間と空間が、たまらなく愛おしくなる。そんな未来を感じて。
cafe&bowl... coconie
店舗情報
- 店名
- cafe&bowl... coconie
- 住所
- 富山市茶屋町1025
- 電話番号
- 076-471-6660
- 営業時間
- 7:00~9:00(8:30L.O.)、11:00~16:30(16:00L.O.)
- 定休日
- 水曜、月2回不定休
- @cafe_coconie