潮風と魅惑の氷に包まれて

　まるで宝石のように美しい、果汁あふれるメロンのボール。その下には、ふわりと空気を含んだ純白の氷が、そっと口の中で溶けていく。昨年、滑川の旧宿場町にオープンした『なかだや』は、まさに〝大人の隠れ家〟と呼ぶにふさわしいかき氷専門店だ。どっしりと構えた木の扉を開けると、ドライフラワーが優しく迎えてくれた。店内は10席のみ。木のぬくもりが感じられる2階建ての空間には、潮風がそよぎ、静かなBGMが流れている。まるで時間がゆっくりと流れ出すかのようだ。
　オーナーは週に一度、自ら全国の果樹園を巡ってその時いちばん輝いている果物を厳選。その後、店でじっくりと追熟させることで、フルーツの魅力を最大限に引き出す。メニューは週ごとに変わり、訪れるたびに新たな出会いがある。今回は「まるめろ」を注文し、その出来上がりを眺める。メロンの皮をそのまま器に仕立て、ふわふわの純氷が高く高く盛られていく。果肉を一つひとつ丁寧にくり抜き、氷の上に優しく積み上げる。たっぷりのミルクソースとヨーグルトクリームがやさしくとろけ、上にはココナッツメレンゲ、仕上げにレモンピールが香る、見た目も味わいも爽やかな逸品だ。
　驚くのは、その食感。口に入れた瞬間、優しく溶けていく。ミルキーな甘さと果汁の瑞々しさが一体となって広がる。そして、頭がキーンとしない！溶けた後もジュースのように美味しく、最後の一口まで幸せな余韻を楽しめる。「毎週のメニューが楽しみで、つい通ってしまうんです」というリピーターも。一つひとつ丁寧に提供されるこのかき氷は、まさに一期一会のスイーツだ。
　滑川の古き良き街並みを歩いたあと、潮風に包まれながら訪れたい。そんなとっておきの場所が、またひとつできた。