海と、笑顔と、香ばしさと。心穏やかになれる場所。

　射水市の富山湾沿いに構える、かき氷と焼き菓子のお店『ミチツムギ』。レトロな石張りの、一見倉庫のような外観に、駅のホームさながらの枕木、線路、そして飾られた鉄道標識。自然と童心にかえったように胸が躍る。外階段を上って扉を開けると、目の前にはオーシャンビューが広がり、その景色をどうぞご堪能ください、と言わんばかりに全席が海向きに配されている。漂う焼き菓子の香ばしさも相まって、そこはまるで別世界であるかのように、ゆっくりと穏やかな時が流れていた。屋上のテラス席からは、日によって海越しに立山連峰も望めるという最高のロケーション。「屋上には遊具もあるから、お子さん連れもぜひ！帰りに海までお散歩もできますよ。」と店主の吉野さん。その素敵な笑顔と、心地良い空間に心を奪われて、すっかり『ミチツムギ』のとりこになってしまう筆者であった。
　この店の自慢は、他では味わえない独創的なかき氷と、心温まる焼き菓子たち。特筆すべきは、かき氷に自家製オートミールやフロランタンといった焼き菓子を大胆に組み合わせるアイデア。スイーツ好きの心を鷲掴みにする、まさに「スイーツを存分に楽しむため」の場所である。今回紹介する「アサイーボウルかき氷」は、海外旅行好きの吉野さんが、旅先で出会ったアサイーボウルの美味しさを富山でも、と考案。実際に口にすると、アサイーの甘酸っぱさが爽やかに広がり、ぺろりと完食してしまう。フロランタンのザクザク食感と、かき氷の口溶けが織りなすハーモニーは、今まで味わったことのない新感覚スイーツ体験！しかもヘルシーだから罪悪感なく食べられて嬉しい！グリークヨーグルトとコムハニーのトッピングを追加するのもおすすめなんだそう。
　前職は船の客室乗務員だったという店主の吉野さん。お菓子作りが得意な母親の影響で、いつかカフェを開きたいという夢を抱いていたところ、ご縁あってカフェの一角を間借りさせてもらうことに。さらにご縁が重なって、叔父が営むバーの常連さんとの出会いが、かき氷への道を開いたという。有名かき氷店の店主に一から学び、夢叶って『ミチツムギ』をオープン。「人とのご縁・心・想いをより合わせ、人生という道の糸を紡いでいきたい」という想いが込められた店名には、吉野さんの人生の軌跡が重ねられていた。

吉野さんのお父さんが建てたこだわりの詰まったお店。

駐車場からお店へと続く線路。

停留所のような、レトロチックなフォトスポット。今にも電車がやってきそう！