30 COKKI PAN
辿り着いた、奥深いパンの世界

2013年9月にオープンした同店は、国産のオーガニック小麦を100%使用し、酵母菌や乳酸菌を利用して発酵させる「サワードウブレッド」を焼くお店。身体にも地球にも優しいこだわりのパンに、リピーターが多い。
——パンづくりへの想いを教えてください。
目標というか、夢というか、「200年後の子どもたちが安心して食べていける世界」がゴールだとして、そのために何をすれば最善なのかってことを考えています。同じ想いを持った人たちが全国各地にいて、例えば小麦を分けてもらっている十勝の生産者さんとも、こないだお話してきましたけど、やっぱりロマンがあるとか、楽しいとかが先なんですけど、それで未来の役に立つのであれば、楽しさに輪をかけてっていう。そういう感じでやってます。今って、選択肢が多いのはいいけど、少し先のことしか考えていないような気がしていて。例えば、災害とか戦争とかで輸入がストップしたら、日本は食べ物に困りますよね。結局、日本の農作物の99.3%は肥料を使ってますけど、その肥料の原料も輸入品なんです。この先何が起きてもちゃんと食べ続けていくためには、いざというときに自分たちで作れる技術とかノウハウが大事で、だから、国産の有機栽培や自然栽培の小麦を使っているのは、そういう人たちに頑張ってほしいから、その技術の伝承のためでもあるんです。

——パン職人の魅力は何ですか。
まず、生きていくうえで重要な“食”に直結していること。それでいて、目に見えない部分で表現できるっていうのが僕にとってはすごく魅力です。信頼とか愛とか、そういう大事なものって目に見えないですよね。サワー種は乳酸菌とか酢酸金とか、色んな微生物の組み合わせで複雑な風味が生まれるので、そこを追求して表現するのは面白いですね。植物と土って相互関係で成り立っていて、土の中にはたくさんの微生物で小宇宙が出来上がっているんです。その大地の世界が、穀物と菌で出来ているパンにもあると思っていて。だから、テクニックで美味しそうに見せようとか、そういうのってあんまり大事じゃないのかなって。大地も、人間も、パンも、「みんな生きてる」っていうことを意識して、命をいただいている感覚を時々は思い出したいですね。

——パン職人の前は何を?もしかして生物学者だったとか?
実はレーシングライダーをしていたんです。3回の優勝経験もあるんですよ!13年くらいやって、30歳を過ぎて続けてられないなって思って。何でかは分からないけど、たまたまパン屋さんの募集があったので、ちょっとやってみようと思って。最初はただ自分のお店を持つってことだけ考えてましたけど、いざ自分のお店を持って、素材に興味を持ったところから、本当に楽しくなりましたね。レースやってるときと同じで、やっぱり十何年続けることで見えてくるものってあるんですよね。

COKKI PAN
店舗情報
- 店名
- COKKI PAN
- 住所
- 富山市才覚寺837
- 電話番号
- 076-460-2230
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 定休日
- 月、火、水曜
- 駐車場
- 店舗横2台
- WEB SITE
- https://www.instagram.com/cokkipan/