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今月のPICK UP「伝統を、日常に。」

目次

富山市

富山ガラス工房

ガラスアーティスト/竹岡 健輔(たけおか けんすけ)神奈川県生まれ。多摩美術大学にてガラスプログラム修了後、富山ガラス工房に所属。2019年「国際ガラス展・金沢2019」において銀賞を受賞。その他数々の受賞や入賞経験をもつ。富山市ガラス美術館のほか、国立工芸館やサントリー美術館などでも展示され、いま最注目されているガラスアーティストの一人である。

竹岡さんが制作したガラス作品たち。光を受けて表情を変える唯一無二のテクスチャーが最大の特徴。その表情を活かすべく、落ち着いた色合いや透明感のある作品が多い。写真左から、「つぶ ボウル(6,600円)」/左奥「Romance ゴブレット(7,150円)」「Romance ビア(7,700円)」/中央手前「Romance 一輪挿し(7,920円)」「Romance ぐい呑み(4,950円)」/中央「Romance 一輪挿し(各7,920円)」/右奥の編み花器「Woven Vessel(198,000円)」/右手前「鱗 茶杯(4,400円)」「鱗 片口 bronze(5,940円)」「鱗 ビア(6,600円)」。竹岡さんをはじめとしたガラスアーティストの作品は、富山ガラス工房のギャラリーやオンラインショップにて購入可能。※価格は全て税込表記。5月25日現在の価格。

多様な表情に魅せられる、奥深きガラスの世界

 

大学1年次に陶、金属、ガラスといった様々な素材について学び触れる中で、最も扱いにくく難しいと感じたのが、ガラスであった。竹岡さんは、やわらかさとかたさの間で形態を変化させる、ガラスという未知の世界にどんどんのめり込んでいった。

 

吹きガラスが好きで練習を重ねる中、オリジナル作品を作る課題において、山葡萄の籠バックや竹籠に着想を得た作品を作った。吹いたガラスに、あらかじめ作っておいた板状の編みガラスを温めながら巻き付け、整えていく。そうして、竹岡さんの代表的作品でもある「編み込まれた、ガラスの線による構造体」が生まれた。「これだ!」自身の作品の方向性が見えた瞬間だった。

 

溶けたガラスから一本の線が生まれ、やがて構造となり立体となっていく過程が、線の軌跡として作品に現れる。「ガラスを編むことで、温かみのある作品を作りたい。」と語る竹岡さん。自身が長年愛用している革財布のように、経年変化による良い味をガラスでも表現したい。無機質に思えるガラスでも、編むことで、ぬくもりを感じるものになると考えた。

 

ガラスに触れられること自体が喜びであり、まだ見ぬ表情を発見する面白さは尽きない。将来的には自宅兼工房を構えて、制作に没頭する日々を送りたいという。一見シンプルなものでも、色や模様の入り方など、ガラスだからこそ表現できる表情がある。他にはあまり無いようなデザインや形を探したり、お気に入りの作家を見つけて1点ものを使ったりと、ガラス作品を日常に取り入れて楽しんでほしい。

店舗情報

店名
富山ガラス工房
住所
富山市古沢152
電話番号
076-436-2600
営業時間
9:00~17:00
定休日
不定休
駐車場

高岡市

能作 本社工場

産業観光部 統括マネージャー /明道 伸宏(みょうどう のぶひろ)高岡生まれ高岡育ち。2012年4月に入社。店舗での販売業務や新規店舗立ち上げの経験を経て、現在は本社工場の見学や体験案内など、お客様をおもてなしする重要な役目を担っている。

写真左から、「KAGO - スクエア - S - リバーシブルブラック(7,700円)」やわらかな錫の特性を生かし、縦横に引っ張ったり曲げたりすることで、かご状に変形。S・M・Lの3サイズ展開。/「風鈴スタンド(5,500円)」スタンドフックに風鈴を掛けるだけの手軽な風鈴スタンド。/「重ね彩 風鈴 - ホルン - 斑紋黒染色(9,900円)」真鍮ならではの澄み切った音色とすっきりとしたフォルムが美しい風鈴。/「香鉢 - 八卦 - 真鍮(4,950円)」縁起のよい八卦をモチーフにした、ほどよい深さの香鉢。付属の香立ては取り外しができ、スティック香、コーン香にも対応。/「Ribbon Necklace(42,900円)」ジュエリーブランド「NS by NOUSAKU」の人気アイテム。流れるような錫の曲線上にアコヤパールが揺れるリボンネックレス。/「HOOP(8,800円)」リングの部分を変形できる一輪挿し。MARU・KAKU・TAKAKUの3種類展開。 ※価格は全て税込表記。5月25日現在の価格。

高岡銅器の歴史を紡ぎ、鋳物業界に革新をもたらす

 

能作の製品を扱っているショップに立ち寄ったときのこと。錫の籠を見て、衝撃を受けた。金属でありながら、やわらかく、自由自在に形を変えることができる。そのしなやかさ、軽やかさに魅せられたと同時に、地元・高岡の会社が作っていることに誇りを感じた。「もっと沢山の人に広めたい。」株式会社能作への入社を決意した瞬間だった。

 

明道さんが入社した当時、直営店は4店舗のみ。そこから、鋳物業界に革新をもたらすという想いで走り続け、気づけば国内のみならず海外まで、全20店舗に広がっていった。「ただモノを売るのではなく、ストーリーや想いを伝えて、ファンを作りたい。」売り込まなくても、伝統的な技術の高さや美しさ、その商品が生まれた背景などを丁寧に伝えることで、能作に魅了される人々を増やしていく。それが110年にも及ぶ能作の歴史を支えてきた流儀だ。

 

一昨年誕生した錫のジュエリーブランド「NS by NOUSAKU」は、能作がプロデュースする、結婚10周年の節目をお祝いする「錫婚式」から着想を得たものだ。5代目社長が錫婚式を挙げる際に、全従業員からのサプライズとして、職人が作った錫の指輪を贈ったところから生まれた。錆びない、朽ちない、割れない。縁起の良いものとされる錫は、贈り物にも最適。

 

「能作の製品を日常に取り入れることで、ちょっとした特別感や非日常を味わってほしい。」と語る明道さんご自身も、能作の人気製品「NAJIMIタンブラー」を愛用。使えば使うほど馴染んでいき、経年変化によって重厚感を増していく。だからこそ、使用頻度が高いもの、生活に欠かせないものを取り入れてみるのがおすすめだそう。高級感はありつつも、手の届かない価格帯ではない。それもまた、日常使いしやすい理由の一つだ。

 

「人と、地域と、能作」。地域の産業があって、地域に支えられてやってきた。高岡の地から全国へ、そして世界へ。能作の挑戦は、まだまだ終わらない。

店舗情報

店名
能作 本社工場
住所
高岡市オフィスパーク8−1
電話番号
0766-63-0001
営業時間
10:00~18:00(カフェL.O.は17:30)
定休日
年末年始(工場見学は日曜・祝祭日休業、土曜不定休)
駐車場
入場料
無料

南砺市

五箇山 和紙の里

和紙職人/石本 泉(せん)山口県出身。武蔵野美術大学の工芸工業デザイン学科を卒業後、五箇山和紙の里へ就職。富山に移住し18年間、和紙の原料となる楮(こうぞ)の栽培から、和紙を使った商品のデザイン・開発・制作まで、幅広く活躍し、五箇山和紙の魅力を発信し続けている。

写真左から、「ちんちろ カードケース(2,090円)」内側に2つのポケットが付いた、カードや名刺などを入れるのにぴったりな軽くて丈夫な和紙のケース。/「合掌ブックレスト プッシュ式LEDライト付き(4,180円)」読みかけの本をそっとかぶせると…小さな合掌造りのできあがり。文庫本・A6サイズ本・新書本・単行本サイズ対応。/「和紙ボタン ヘアゴム(600円)」和紙製品加工後の端材を使用した、丸くて小さな和紙のボタン。14色展開。/「ちんちろ ポーチL(2,970円)」化粧品などを入れるのにぴったりな、軽くて丈夫な和紙のポーチ。Mサイズとフラット型のS・Lサイズもあり。/「丸漉き和紙 10cm(300円)、12cm(400円)、18cm(500円)」丸く漉きあげた和紙。軽撥水加工を施しているため、コースターとしても使用可能。 ※価格は全て税込表記。5月25日現在の価格。

伝統を現代へ、未来へ繋ぐ。五箇山和紙の新たな可能性

 

世界文化遺産として、合掌造り集落で知られる五箇山地域は、江戸時代から続く、伝統的な手漉き和紙の産地である。雪深い環境で育った良質な楮(こうぞ)を原料に、強靭で耐久性が高い「五箇山和紙」は、「八尾和紙」や「蛭谷(びるだん)和紙」とともに「越中和紙」の名で国の伝統的工芸品に指定されている。そんな五箇山和紙を発展させるための施設が、『五箇山和紙の里』であり、その魅力を後世に伝えていくいわばキーマンのような存在が、石本さんだ。

 

武蔵野美術大学の木工専攻で家具づくりを学ぶ中、同じ原料から作られる紙に興味を持ったところから、彼の人生は大きく動きだす。大学の課題で家具を提出すべきところ、自宅アパートの台所や風呂場で漉いた紙を提出。担当教員には怒られたものの、他専攻の教員からは感心され、大学が提携を結んでいる和紙の産地・五箇山の存在を教えてくれたという。当時、『五箇山和紙の里』に大学の先輩が務めていたことや、偶然欠員が出たことなど縁が重なり、入社する運びとなった。

 

2013年には、デザインユニット「minna」とともに、五箇山和紙を使った新ブランド「FIVE」を完成させ、海外のブランドショップでも扱われるほどのヒット商品を生み出した。最初は2~3年富山に居るつもりだったが、気づけばもう18年目。自宅アパートから始まった石本さんの和紙の道は、この国の伝統工芸を繋いでいく役目にまで続いていた。

 

「歴史ある伝統工芸だということはあまり意識していなくて、先人の知恵や技術を大切にしながらも、既存の概念にとらわれず、現代にアップデートしていかなければいけないと思っています。」と語る石本さん。様々な伝統工芸の技術や素材を掛け合わせて、これからも五箇山和紙の新たな可能性を追求していく。

店舗情報

店名
五箇山 和紙の里
住所
南砺市東中江215
電話番号
0763-66-2223
営業時間
9:00〜17:00(紙すき体験は10:00〜15:00まで※要予約)
定休日
不定休
駐車場

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