かつては富山城の城下町だった千石町通り商店街。代々受け継がれてきた老舗店舗が軒を連ねる中、ひと際レトロな雰囲気を醸し出す喫茶店がある。1930年に定食屋『赤田屋』としてオープンし、現在は定食メニューも楽しめる喫茶店として、世代を超えて愛される『イソップ』

。聞けば、親に連れられて来店していた子どもが、いつの間にか親になって自分の子どもを連れて来店。そんな風に親子3代、4代で通う常連客も多いんだとか。昔は周辺にお店やオフィス、銭湯もあったことから、夜遅くまで賑わいを見せていた商店街。会社勤めのサラリーマンが朝の出社前にコーヒーを飲みに来て、残業終わりに美味しいごはんを食べて帰っていく…なんてことも。現在は、カルチャースクールの帰りに、複数の女性が楽しくおしゃべりする場だったり、本やスケジュール帳を片手に、ひとり静かに物思いにふける場だったり。もちろん、ケチャップオムライスや熱々の鉄板ナポリタンなど、喫茶店の定番系から、カツ丼定食やすき鍋うどん、麺類、トーストやサンドイッチなどの軽食、デザートまで多種多様なメニューが揃うため、ランチ利用としても、人々にとってなくてはならない存在だ。

昭和情緒が色濃く残る空間で、店内に流れるジャズを聴きながら過ごす時間は、現代において非日常的な特別感がありながらも、どこか懐かしい温かさを感じることだろう。